9歳になる息子が般若心経を覚えようとしているがなかなか覚えられない。
口に出して読んでないからだ。
どうしても覚えようとすると目で見てアタマで覚えようとするが、
ことお経に関しては知識のように覚えるのではなく、
口や体で覚えた方が早い。
早いだけではなく忘れない。
頭の中では次のフレーズが出てこなくても、
勝手に喉からするりと流れてくる。
そこまで読みこむことが覚えるコツなのかもしれない。
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たいていお経、というと、「意味は?」となってしまうことが多い。
おそらくほとんどの坊さんは、そういうことを聞かれれば、
「意味より大切なところがありますよ」
「なんなんでしょうね」
なんてはぐらかすに違いない。
ほんとうにその坊さんがお経の意味をよくわかっていない、
なんてこともあるかもしれないけれど、
ほとんどの場合、意味よりもずっと大切なところを肌で感じているのだろう。
たしかに、お経は真実を伝える教えである。
その意味を解釈するのに勉強する必要がある。
でもその前にしなくてはいけないことは、
まず素直な気持ちで受け取ること。
受け入れること。
そしてそれを意味も知らずに読むということ。
人間のその姿勢が、経を聞き受け取る人の心を穏やかにする。
人間の価値判断がさしはさまれる前の、
生モノとしてのお経に親しんでいきたい。
今日も一日心穏やかに過ごせますように。