三春、果満つ菩提(ぼだい)の樹。
一夜、華開いて世界香し。
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花が開けば世界が香る。
香りとは、ただようものであり、
目には見えず、でもはっきりと、そうとわかる。
ただ、けっして言葉にならない。
マルセル・プルーストが『失われた時を求めて』でマドレーヌの香りが記憶をよみがえらせたように、香りは、忘れていたもの、自分ではそれと気づかないものと私を一気に結びつける。
亡くなった方に線香を供え、香りをお供えするのも、故人のぬくもりや記憶、遺徳がそこなわれないようにすることにほかならず。
三寒四温の雪下にも春の香りは満ち満ちています。
今日も一日心穏やかに過ごせますように。